オーナー アンドレア・フランケッティ氏
名もない荒地に過ぎなかったトスカーナ・サルテアーノのこの地を、一気に世界レベルへと一躍有名にしたテヌータ・ディ・トリノーロ。1980年頃にここを訪れ、「今では見ることのない100年以上前のトスカーナの田舎を感じた」と語るオーナーのアンドレア・フランケッティ氏が独自で設立したワイナリーです。
2.5haからはじめたワイン造りは独学で開始。ボルドーのシュヴァル・ブランやヴァランドローといった名立たる生産者の友人から学び、栽培ではフランスの経験豊かな専門チームを呼び寄せたりしました。出来るだけ小さい房、実をつけさせるため植密度を1haあたり10,000株まで上げるなど改革を進め、今では葉の色を見るだけで、ブドウが今何をしているかわかるといいます。そうして生まれたワインは、学んだボルドーのトップ・シャトーにも負けない品質にまで高められました。
自然と一体となった生活を営みつつ、独自のワインの世界観を持つ彼は、いつしかイタリアワイン界を代表する存在になったと言えます。
フランケッティ家は中世以降チュニジアからイタリアに渡ってきたと考えられています。
現在までフランケッティファミリーから排出された人たちのイタリア社会における貢献度は計り知れません。政治家、銀行家、音楽家、学者、芸術家、探検家、パルチザンの英雄などあらゆる分野にわたり活躍したフランケッティの名がイタリア歴史上に現れます。またロスチャイルド家(ロートシルト)とも親戚関係にあります。
アンドレアも若い頃は映画俳優になるなど、感性豊かな生活を送っていましたが、あるときワインというものが、自分自身を照らしてくれ、自分を表現できる意味ある人生にしてくれると感じ、ローマを離れトスカーナの地でワイン造りを始めることになります。
彼のワイン造りは独学ですが、全てが発想豊かなアイデアに溢れています。そんな彼を人は「鬼才」と呼び、イタリアワイン界において特別な存在となっています。
ラベルはフランケッティ氏がイメージしたもので特別な画家が描いたものではありません。
白鳥がデザインされていますがこれはフランケッティ家の家紋から取っています。
セカンドワインであるクーポレはその家に丸屋根(Cupoleクーポレ)があるところから命名されました。
トリノーロでは最高のブドウを得るための努力を一切惜しみません。仕立ては全て膝ほどの高さに揃えられており、非常に作業が大変でまるで盆栽の手入れをしているようです。これにより房が小さくなり非常に凝縮度と複雑な味わいのブドウを育てることができます。
畑には化学肥料は使いません。フランケッティ氏は科学肥料を使用すると土地のバランスが崩れると考えており、また堆肥は強すぎるので殆ど使用しません。全ては土地に対してソフトでなければならないと考えています。畑の手入れ度合いもイタリアでは最高峰の一つと言えます。
トリノーロの収穫は類をみない程のチェックが行われており、年によっては40回以上に分かれて行われます。これは区画、もしくは樹1本ずつとってもブドウの成熟度が異なるため、午前は駄目でも午後は収穫可能、ということもあります。毎回のブドウの試食をクリアして収穫された実は、まさに完璧な状態。力強く凝縮感にあふれていながら、決して上品さを失うことなく自信に満ちたワインへと生まれ変わります。
高い注目を集めるテヌータ・ディ・トリノーロですが、その躍進は、止まることを知りません。「テヌータ・ディ・トリノーロ2009」はワイン・アドヴォケイト誌にて過去最高の99点を獲得したことで脚光を浴びますが、その後も90点以上を獲得し続け、イタリアワインのトップの造り手として走り続けています。
ワイン・スペクテイター誌ではセカンドワインである「レ・クーポレ・ディ・トリノーロ 2014」が、93点を獲得。さらに、2016年度末には同誌が発表する、世界のトップ100ワインになんと、世界の高級ワインと肩を並べて29位にランクインします。
ボルドーやカリフォルニア、ピエモンテなどの銘醸ワインが鎮座する中、セカンドワインにして世界のトップ100に名を連ねるテヌータ・ディ・トリノーロ。彼らの実力はもはや図り知れません。同じ年の「テヌータ・ディ・トリノーロ 2014」はワイン・スペクテイター誌としては最高の94点を獲得しており注目のワイナリーです。
少し落ち着いたイメージのある2012年ヴィンテージ。ブドウとの対話が出来るほどに、細やかな愛情を注ぐアンドレア・フランケッティ氏曰く、前年の2011年がとても良く多くの実をつけたことと、夏の暑さによってブドウの樹にストレスがかかっていたそうです。この年のワインの主要品種となったカベルネ・ソーヴィニヨンは出来は非常に良く、品種の個性が出たヴィンテージです。骨格やストラクチャーもしっかりしており豊満さや力強さを感じられる赤ワインで驚くような強さを感じることの出来るワインです。
テヌータ・ディ・トリノーロ 2012
ワイン・アドヴォケイト 93点
ワイン・スペクテイター 93点
著しく涼しいヴィンテージとなりました。夏の気温ですが、例年の平均気温は約40度となりますが、このヴィンテージは26度までしか上がりませんでした。結果、テヌータ・ディ・トリノーロ2013はアンドレア・フランケッティ氏がワイン造りを始めた際に、この土地から生み出したいと考えていたフレッシュなスタイルになっています。骨格のしっかりとした複雑な果実のニュアンスを持ち、ブラックベリー、ドライチェリー、すぐりのアロマが感じられ、奥にレザー、スパイスや噛みタバコが感じられます。生育期が涼しかったことで、収穫は11月初旬とかなり遅くなり、酸がしっかりとあるヴィンテージです。2013ヴィンテージは素晴らしくエレガントで、今までになく長期熟成が可能なワインとなるでしょう。
テヌータ・ディ・トリノーロ 2013
ワイン・アドヴォケイト 95点
ワイン・スペクテイター 92点
雨のよく降る暖かい冬となり、発芽は早く4月9日。開花も全ての畑で5月15日には出来ていました。一般的に開花から100日で収穫が出来ると言われていますが、開花から収穫まで過去最長の140日となりました。7月下旬に早くも全ての畑でブドウへの色付きもみられ、エネルギーがたっぷりと詰まったブドウとなる確信を得ます。しかしながら、夏は雨が多く、例年より畑での作業員を増やしブドウの栽培に注力、トリノーロの真骨頂とも言える、細かな畑の作業が実を結びます。9月中旬からは晴れた日が続いたお陰で素晴らしい収穫を迎えることが出来ます。2014は畑や収穫作業に多くの人手と労力を要しました。 9月29日から10月28日にかけて36回にも及ぶ細かな収穫を行っています。ワインには信じられない魅惑的な果実味があり、赤系果実のみでなくパッションフルーツなども感じることができます。フランケッティ氏の造るワインは間違いなく世界トップクラスですがこの香りは誰も到達できない程に素晴らしいワインだと思います。
テヌータ・ディ・トリノーロ 2014
ワイン・スペクテイター 94点
レ・クーポレ・ディ・トリノーロ 2014
ワイン・スペクテイター 93点
ワイン・スペクテイター2016、世界TOP100ワイン(29位)
6月-7月非常に気温が上がり、暑くなりましたが、8月の前半から涼しくなりゆっくりとブドウが成熟しました。適度な降雨が恵みの雨がとなり、収穫前まで冷涼で安定した気候のおかげで、ベストな収穫のタイミングを見極めることが出来ました。異例とも言える素晴らしい品質のメルローと、その後に収穫されるカベルネ・フランも長い成熟によって複雑な印象を醸し出してくれています。
トリノーロのもう一つの魅力、カンポ(単一畑)シリーズ。畑によって出来るブドウ、ワインにはそれぞれ個性がありますが、ブドウの樹齢が高くなり、区画ごとに個性がより明確に出てきたため特定の区画のブドウのみを使用したワインを造りはじめました。標高や土壌の違う個性的な3つの区画(カマージ、テナリア、マニャコスタ)のワインが2014ヴィンテージから同時に発売されました。
マニャコスタ(Magnacosta)
広さ約1.5Haの畑でワイナリーの真横にあります。土壌は丸みある小石と沖積土で構成されており、その昔河川によって形成された土地です。10,000本/Haと密植されており、標高は450mもありますがカンポの中では一番低い場所にあります。ワインはエネルギッシュですが、柔軟でしなやかな女性的なワインに仕上がります。
テナリア(Tenaglia)
広さ約0.3Haの畑で、石灰岩と砂を含む極小区画です。10,000本/Haと密植されており、標高は約550mに位置しています。畑は、約2m以深ではもろく大きい石灰岩質と砂質土壌があり水はけが非常に良い土壌です。色調が濃くスパイシーな印象もあり、全体のバランスがよい中性的なワインに仕上がります。
カマージ(Camagi)
広さ約1.5Haの畑で、石灰と石英を含んだ区画です。他のカンポよりやせた土地のためブドウ樹の根は他と比較して細く深く入ります。カンポの畑中で一番標高の高い600mに位置しています。果実の凝縮度が高く、フレッシュで骨格のしっかりした男性的なワインに仕上がります。
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