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南アフリカ
南アフリカ ウエスタン・ケープ

エルギン・リッジ

Elgin Ridge

エルギン・ヴァレー ビオディナミのパイオニア

知る人ぞ知る、南アフリカ産-ビオ生産者-

エルギン・ヴァレー産ビオディナミのパイオニア 「エルギン・リッジ」

2007年に設立)

エルギン・リッジは南アフリカ屈指のクールクライメイトを誇る銘醸地、エルギン・ヴァレーでマリオン&ブライアン・スミス夫妻によって2007年に設立されました。この地区で最初にビオディナミ認定(2016年:デメテール)を取得した自然派ワインのパイオニア的存在で、現在8ヘクタールの土地を所有し、内5ヘクタールでブドウを栽培しています。エルギン・リッジのブドウ畑から西方には遠く海を望むことができ、辺りは岩のごつごつした山々や、瑞々しい緑の畑に囲まれた美しい渓谷が見渡せます。

ブドウ畑は山の斜面を取り囲むように広がり、畑の向きも他方に向いています。また勾配も大きい事から、畑は段々畑状に工夫され栽培がおこなわれ、このような小さな区画が幾つも点在します。

そしてそれぞれの区画では、現在も試験栽培が繰り返され土壌環境や畑の向き、斜度など異なるミクロクリマに合わせた栽培方法が用いられ、密植を行ったり異なるクローンを用いることで土地の力を最大限に引き出す努力がなされています。

斜面上で栽培される畑の標高は海抜282m地点の高台にあり、エルギン・リッジの単一ワインシリーズはこの「282」をブランド名にもしています。

ブドウ畑は冬は寒く夏は穏やかな気候でブドウ栽培に理想的な環境が揃い、大西洋からも近い事で、ブドウは冷涼な気候下で健康な状態を保つことができます。こうしたユニークで恵まれた環境は、秀逸でバランスの取れた、更に長期成熟に適したワインを生みだしてくれます。エルギン・リッジでは丹精込めて栽培した自社農園の健康で良質なブドウだけを使用し、決して量産はせず品質にこだわり少量のワインのみを造っています。こうして生み出されるワインは、マスター・オブ・ワインやワイン関係者の中でも話題で、イギリス人ワインジャーナリストで科学者でもあるジェイミー・グッド氏は、全てのワインに90点以上という高評価を付けています。

 

畑一面を覆う深い霧 畑一面を覆う深い霧

ワイン造りにかける想い。IT業界からの異色の転身。

ワイナリーのオーナー、スミス夫妻は「少量でも素晴らしい、ハンドクラフトなワインを造る」という、長年に亘り大切に温め、計画してきた2人の大きな夢の実現のため、ロンドンで成功していたITビジネスを売却。ヨーロッパ各地のワイン生産地域を巡り、更にはニューワールドにも足を運ぶようになりました。そして南アフリカ、西ケープ州エルギン・ヴァレー地域の可能性に強く興味を持つようになります。幸運にもこの地域には長年にわたり放置された、小さな農園が残っていることが分かり、ここでは農薬などの使用もなかったことから直ぐに有機栽培を実践することが可能でした。

すぐに2人は農園を購入し、2007年最初のブドウであるソーヴィニヨン・ブランを植え有機栽培を開始しました。栽培から僅か22カ月育っただけの、この若いブドウ樹から2009年に最初のソーヴィニヨン・ブランを瓶詰。僅か2500本のみの生産ではありましたが、この地の可能性を証明させてくれるワインとなり、現在でもソーヴィニヨン・ブランは蔵の大切なワインとなっています。ソーヴィニヨン・ブランというと、酸の高い品種のイメージがありますが、ブライン氏は「酸度も大切だが、酸で全てを隠してしまうのではなく、果実が本来持っているピュアな果実の姿をワインを最大限に出すべきだ」と極端に酸を強調するのではなく、栽培面から酸と果実の絶妙なバランスを保つ事を重要視しブドウ栽培・ワイン造りを行っています。

畑では灌漑は最低限必要な時だけ行い、地中の微生物の活動を盛んにし、窒素の割合を理想的な状態にするため、カバークロップ(畑を覆う草花)として雑草やマメ科の植物を2列に栽培し、次の1列は休ませるなど規則正しく栽培・管理を行っています。また区画によってはブドウ樹を密植させたり、収穫のタイミングを分けたりと、細部にわたり畑での作業は複雑化しています。この複雑に整備された、緻密なまでのブドウ畑は化学も十分理解したうえで行われている自然栽培で、彼の畑を見たワイン関係者は皆、虜になってしまうほどです。

ワイン造りの素人であったブライン氏ですが、これらのノウハウは熟練の栽培家や醸造家のアドバイスを受けながら、長年の実験と失敗、経験を基に全て独学で学び、独自のスタイルを築いてきました。

 

オーナー夫妻 オーナー夫妻

恵まれた気候環境とブドウ栽培

【エルギン・ヴァレーの注目度の高まり】

大西洋からの距離20Kmと近く晴れた日には、畑から海を見ることができます。大西洋からの影響は大きく、朝方霧に覆われ日中は海風が吹き抜けます。比較的降雨量のあるワイン産地ですが、この海風が畑を吹き抜けることで春先の霜の被害や成長期のカビの被害を妨げ、更には急激な温度変化からも畑を守ってくれる役割を果たしてくれます。

 この地域は冷涼な事から、古くから良質なリンゴや洋ナシの栽培が盛んな産地でしたが、世界中を虜にするエレガントで繊細なワインをつくり出す、ブルゴーニュにもよく似た冷涼なワイン産地である点に注目が集まり、今日ではワイン用ブドウの栽培が盛んにおこなわれるようになりました。 そして、世界的な高品質ワインを造る小規模ブティックワイナリーの数も増えてきています。

 

有機農法、ビオディナミ農法を施す畑

畑では化学薬品や農薬は一切使せず、ビオディナミ農法に沿って畑の手入れを行い、認可を受けた有機物と農場の草木を再利用した自家製のコンポスト(堆肥)だけを利用し、自然な農法でブドウを栽培しています。畑の畝の間の除草はとても気性のおとなしい馬、マドックスが行います。マッドクスはアヒルが畑をパトロールする(虫を食べる)間は、優しく畑を耕しながら待つのが大好きな優しい馬です。また、ブドウそのままの姿を賛美したいので、害虫の駆除は大切なチームの一員である小さな、そしてとても大切なアヒルたちに任せることにしています。アヒルたちは農場で飼われており、害虫を毎日食べるよう訓練されています。いつも午後4時になると列をなして家に帰る可愛らしい姿を見ることができます。

こうした農法は持続可能で、テロワールを真に映し出すワイン造りを可能にし、栄養価の高いブドウを育んでくれます。品質の高いブドウがあれば、セラーでの仕事はとてもシンプルになり、「最小限の人的介入」という、ワイナリーが大切にするワイン造りにおける哲学とも一致します。この哲学を軸に新しく加わった醸造家であるコゥシィ・ヴァン・デェール・エルウィ氏と栽培家のケヴィン・ワット氏はオーナー醸造家であるブライン氏と共に、畑からボトルリングに至るまで自然に寄り添ったアプローチを施しています。

「素晴らしいワインは畑から始まる」とよく言われる由緒ある言葉ありますが、エルギン・リッジのワインは正に畑から生まれたワインであることを証明してくれる、そんなワインです。