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9色のワインと『緑ワイン』ヴィーニョ・ヴェルデとは?

9色のワインと『緑ワイン』ヴィーニョ・ヴェルデとは?

赤・ロゼ・白ワインのほかに合わせて9種類あるワインの色を一挙にご紹介するコラム。とくにポルトガルの「緑のワイン」ヴィーニョ・ヴェルデは現地と諸外国で違った楽しみ方をされているのが注目です。

ワインの色は赤白ロゼ以外に全部で何種類あるか

ワインを『色』によって分類することができるのは多くの大人が知っていることだが、ワインの色が全部で何種類あるかご存知だろうか?
白・赤・ロゼの3色と思った方は、正解。4種類だと思った方は感度が高いワイン通の方、5種類以上だと思った方は遊び心豊かなワイン通だと思う。
本題の『緑ワイン』からは少々それるが、赤・白・ロゼ以外の『色』に関係するワインを6色紹介していこう。

オレンジワイン

最初に紹介しなければならないのは『オレンジワイン』。

近年、ワインの新しいカテゴリーとして加わったのは記憶に新しいところだ。赤・白・ロゼのどれにも属さないので、4色目のワインとしてきちんと分類しておく必要がある。
白ブドウを赤ワインの製法で醸すと、白ブドウの果皮、種子の成分がワインに抽出されてオレンジ~アンバーに見えることからこの名がつけられた。ワイン発祥地の一つジョージアの伝統的な製法が有名だが、近代的な製法のものも諸国で造られて人気になっている。

最近は少しずつ認知が広まってきているから「オレンジワインにはオレンジ果汁は入っていないんですよ」という説明をする機会も減ってきた。

黄ワイン

次は『黄ワイン』。

正式名称をフランス語で「ヴァン・ジョーヌ」と言い、山岳地であるジュラ地方でのみで造られている。サヴァニャンというブドウを使った白ワインを樽で長期間熟成させるうちに産膜酵母が作用し、色合いが黄色っぽく仕上がる高級品だ。「クラヴラン」と呼ばれる容量620mlの特殊な瓶に詰められており、ナッツやクリのようなほっくりとした独特の風味を楽しむことができる。

ジュラ地方特産のコンテ(チーズ)とは中毒性があるといっていいほどの組み合わせだ。

黒ワイン

『黒ワイン』はフランス西南地方のマルベック種から造られる赤ワイン「カオール」のこと。

使われるブドウの色調が濃く、赤を通り越して黒っぽいワインに仕上がることからこの呼び名がつけられた。『黒』と呼ばれるのも納得の力強い渋みが持ち味だが、西南地方の大ぶりな肉料理とともに口に運ぶと、なぜかどんどんボトルからワインが消えていくという不思議な体験をするだろう。


青ワイン

『青ワイン』はスパークリングワインに青色の食用着色料を加えて造られる、見た目をウリにしたカテゴリーのワインだ。

「ブルースパークリング」などと呼ばれ、エキゾチックな色が異彩を放つので、「映え」が大切なシーンにはもってこい。パーティ主催者のご愛用品である。

スパークリングワインではなく、通常の白ワインをベースにしたものもある。


色のないワイン

『色のないワイン』と呼びたいのはドイツ産の「ロートリング」。
見た目はロゼ色をしているが、法律上のロゼワインの定義に当てはまらないため、ロゼワインとしての販売が認められておらず、何ワインにも分類されない数奇な運命をもっている。

ワインの資格試験に登場する銘柄なのでソムリエなら必ず一度は勉強する名前だが、今ではもうほとんど生産されておらず手に入らないのが実情だ。

緑ワイン『ヴィーニョ・ヴェルデ』

いよいよ本題の『緑ワイン』である。
これはポルトガルの言葉で「ヴィーニョ・ヴェルデ」(緑のワイン)と呼ばれるワインのことだ。

ポルトガル語「ヴェルデ」の意味

辞書を引くのは久しぶりだが、どうやらポルトガル語の「ヴェルデ」という言葉は、単に「緑」という意味には収まりきらないようだ。緑から連想される、熟していない・未熟な・新鮮な・若々しいという意味にも転じて使われることがあるらしい。

ヴィーニョ・ヴェルデとは

ヴィーニョ・ヴェルデは、ポルトガルの北部ミーニョ地方にある「ワイン産地」の名前である。

名前に「緑」と銘打つ産地ではあるが赤・白・ロゼの3種類が造られていて、ここで生産されるワインには、産地と同じヴィーニョ・ヴェルデという名がつけられる。ミーニョ地方はポルトガル随一の涼しい地域で「緑」が豊かだから、それが語源になっているというのが地元の定説。

完熟前のブドウを摘みとってワイナリーに運び、醸造中に発生する炭酸ガスをワイン中にとどめて造る白が古くからの習わしで、国際的にもこのスタイルが有名となっている。プチプチ弾ける微炭酸と、度数10%ほどで低アルコールの飲みやすさは蒸し暑い夏の季節には絶品で、飲み手に最高の酔い心地をもたらしてくれる。しかもとてもリーズナブルに、だ。


ヴィーニョ・ヴェルデに合う料理

アテにおすすめなのは、野菜・魚介のフリットにレモンをしぼったものや、クロケッテ(コロッケ)。白身魚のグリルとかオリーヴオイルにヴィネガーを効かせたサラダなどもよい。
揚げる、焼く、のようなシンプルな調理法で、なにしろ軽めの味付けなのが現地流である。

なぜ微発泡のスタイルが有名になったのか

2000年以上もワインを造ってきた伝統あるミーニョの人たちは、実のところ赤ワインを好んで飲んでいるようだ。

一説によると、あるとき醸造中に意図せず発生した炭酸ガス入りの白いヴィーニョ・ヴェルデが国外に出荷されて、それが国際マーケットでヒットした過去があった。
醸造技術の発達した現在では白ワインに炭酸ガスを注入してこのプチプチしたタイプが造り続けられているが、当の生産者たちはなぜ輸出用ヴィーニョ・ヴェルデが微発泡スタイルなのか、今となってはその理由を知らないし、気にもかけていないようだ。
実際に現地を聞いて回った人によれば、このプチプチの由来を知る人に出会うことはできず、答えに出会えたのは後日、たまたま読んだ小説の中だったそう(※その小説には主醗酵のあとに発生した炭酸ガスが瓶中に残っていたようだ、と書かれていた)。
この一連が示唆していることはきっと、飲み手はあまり難しいことを考えず、プチプチスタイルの気さくな味わいに身をゆだねて各々好きな料理をアテに飲めばよいのだ、ということだと思う。そんな風に感じさせられたエピソードだ。

現地での楽しまれ方

さて、かくして諸外国で知られるヴィーニョ・ヴェルデは『熟成』とは無縁。若いうちに新鮮さを味わうのが醍醐味だが、実は地元では完熟したブドウを使用してガスを残さない新しいスタイルのヴィーニョ・ヴェルデも楽しまれているらしい。
少しばかり値は張るが、熟成にも向く質のよいワインで、世界一般のイメージと一線を画していることは興味深い。

一度ついてしまったヴィーニョ・ヴェルデのイメージが覆るのには時間がかかるだろうが、ミーニョにはこうした高品質な緑ワインを世界に発信しようと試行錯誤を続ける生産者がたくさんいるそうだ。そんな彼らのワインが日本のワイン愛好家に届くことを願うばかり。

いつの日かあなたの元に少しばかり高価なヴィーニョ・ヴェルデと出会う機会が訪れるようなことがあったら、見送りは厳禁。心に『緑の』信号を灯して受け入れてほしい。

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