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赤ワインを冷やして飲む『チルド・レッド』のやり方。

赤ワインを冷やして飲む『チルド・レッド』のやり方。

暑い時期に赤ワインを飲むなら冷たいのがいい!でも赤ワインは冷やしていいの?正解は冷やしてOKです。冷たくしてもおいしくいただける赤ワインの選び方を解説します。

夏の「常温」は温度が高すぎる

「赤ワインは常温で飲むもの」
日本で赤ワインブームの起きた1998年頃から一般的にそんなことが言われるようになりました。
「常温」というのは、日本でまだ一般的でなかった赤ワインが気軽楽しめるものとして普及するのによい影響を与えました。
ところが、夏場に常温でワインを飲むのは温度が高すぎます。赤ワインに適した温度は15~18℃くらいです。ですから(地域によりますが)、日本の常温でワインが楽しめるのは一般的に秋~春の涼しい期間ということになります。夏であれば冷蔵庫やワインセラーで冷やして心地よい温度で楽しみましょう。

合わせて読みたい:『タイプ別。ワインを飲むのに最適な温度とは』

冷蔵庫でキンキンはあり?

はい、ありです。

15~18℃より低い温度で飲む赤ワインも、季節によってはおいしいです!

では、どんな赤ワインなら冷やして美味しいのか?それはズバリ、「フルーティーな赤ワイン」です。
 
冷やすことで果実味がくっきりと際立ち、よりフルーツ感アップします。少し甘みのあるワインも◎。冷やすとすっきりとした印象になりますし、酸味があるタイプならシャープさが増し美味しく感じられます。

冷やしすぎNGなワインはある?

渋味が強くて重たいボディのワインは、冷やしすぎることで「えぐみ」「苦味」を感じてしてしまうことがありますので注意が必要です。ほかには、ヴィンテージワイン。熟成を経ると赤ワインはフルーティさが失われ、その分複雑さが生まれます。その複雑さが冷たくすると感じにくくなりますので、キンキンに冷やして楽しむのなら若いワインがおすすめです。

ワインは幅広い飲み物なので一概にはいえないのですが、1,000円台くらいのワインであれば3年以内、2,000円台くらいであれば5年以内くらいのものを目安にするとよいでしょう。また、好みによりますが高級なワインも熟成ワインと同様に本来の楽しみ方(15~18℃)が無難です。

海外で注目されている『チルド・レッド』とは

冷やして赤ワインを楽しむスタイルが、海外で『チルド・レッド(Chilled Red)』と呼ばれて広がりを見せています。注目されているのはやはり渋み(タンニン)が少なく、ライトめな赤ワイン。氷を入れたクーラーでボトルごと冷やしてサーブするやり方や、冷蔵庫でよく冷やす方法で飲みます。日本でいうところのキンキンな状態です。とくに今注目されている『ナチュラルワイン』はブドウ以外の添加物は加えずに造られるので、ワインがジューシーで軽めなスタイルになることが多いです。味わい特徴から赤ワインでも冷やしてサービスするお店が自然と増えて、チルド・レッドにして飲むスタイルが定着していきました。

ナチュラルワインとチルド・レッドの関係とは

ナチュラルワインの赤は、薄旨系のライト~ミディアムボディのものが多いです。このようなスタイルのワインは暑い夏の時期にはワインクーラーに入れて、冷やして飲まれるようになりました。いつしかオーストラリアやニュージーランドを中心に『チルド・レッド』と呼ばれ、新たな赤ワインのスタイルへと定着していきました。ここ数年ではチルド・レッド専用の赤ワインを見られるようになってきています。赤ワインの消費量は世界的には減少傾向で、白やロゼが増加していますが、新たな赤ワインの提案として世界中のワインジャーナリストがこのスタイルに注目しています。

合わせて読みたい:『ナチュラルワイン』の正しい解説。

チルド・レッドで注目されるブドウ品種や銘柄は?

チルドレッドに適した赤ワインを紹介している海外サイトで紹介されているのをいくつかあげます。

『ガメイ』

ボジョレー地区(フランス)に代表される※ボジョレー地区以外でもスタイルが似ていればOK。とくにオレゴンや南アフリカ

『コルヴィーナ』

ヴァルポリチェッラ・クラッシコ(イタリア)に代表される

『ピノ・ノワール』

軽めのスタイルのもの

『カベルネ・フラン』

ロワール地方(フランス)産

『フラッパート』

イタリアのシチーリアで栽培される地品種

『ドルチェット』

イタリアのピエモンテ州に代表される地品種

『マセラシオン・カルボニック法』での醸造

ボジョレー・ヌーヴォなどが代表格

『ランブルスコ』

イタリアのエミリアロマーニャ州で造られる赤い発泡性ワイン

おすすめの『チルド・レッド』ワイン

世界中にワインの取引先を持つモトックスがメディアや生産者から得た情報を通じて、実際に試飲した夏にオススメな「チルド・レッド」のワインをご紹介します。

プール・マ・ギュール

世界的に人気を集めている「サンソー」とチリの地ブドウ「パイス」をブレンドしたライトスタイルな赤ワイン。冷やしてもしっかりとしてジューシーな赤果実と旨味を感じます。チリの新たなスタイルとして注目されています。

ブレバ・ペットナット クリオジャ・グランデ

『クリオジャ・グランデ』もまた、チルド・レッド注目品種のひとつです。甘酸っぱく旨味を感じるライト・ボディのペットナットです。

パーク・ワイン レッド

チルド・レッド専用に作られた赤ワイン。グルナッシュ100%。冷やさないと勿体ない!冷蔵庫でキンキンに冷やしてどうぞ。

サン・タムール

ボージョレらしい軽やかでチャーミングな果実味が、冷やすと引き締まった印象になります。

ヴァルポリチェッラ ナンフレ

ラズベリーのような果実のアロマがフワッと広がり、冷やして飲むとよりチャーミングさが引き立ちます。

サンタ・マッダレーナ フック・アン・バッハ

イチゴやスミレのような透き通った香り。冷やして飲むと、透明感と酸味がきれいに感じられます。塩の焼き鳥などに。

コレクション ガムザ

摘みたて赤果実のような透明感のある味わい。渋みが穏やかで、ほのかな樽感があり冷やしてもバランスよく爽やかに楽しめます。

まだまだあります!冷やしておいしい赤ワイン

柑橘系テイストが表れる『ガンマオーガニック ピノ・ノワール レセルバ』

冷やすと、不思議と爽やかな柑橘系の味わいが広がります。 フルーティで、きゅっと引き締まる酸味。まるでグレープフルーツサワーのようです。 ほろ苦さがクセになりそう。暑い時期に体が求める爽やかテイストに!

バランス感抜群『クロード・ヴァル 赤』

クールなカシスの香りが心地いい。 しっかり冷やしても味わいのバランスの良さはそのまま。 しっかりボディもそのまま。バランスの良さが光る1本です。

渋み少なくフルーティ『フェウド・アランチョ ネロ・ダーヴォラ』

じゅわーっと果実味が広がって、フルーティ&ジューシーな味わいです。 渋みが少なく飲みやすいのもおすすめポイント。 ラズベリーがのったチョコタルトのような美味しさです。

冷えている方がむしろいい『フェウド・アランチョ グース・バンプ』

検証スタッフの一押しはこちら。
遅摘みしたブドウを醸造しているので、普通の赤ワインより甘みが強いのが特徴。 この甘さが、冷やすととても爽やかに。たっぷりとした冷えた完熟果実。冷やすためにあるのでは、とさえ思わせる1本です。冷えひえのデザート感覚でどうぞ。

なめらかで上品『アルタシラーズ/マルベック』

しっかり冷やしても、なめらかさを失いません。すっと通る酸味も心地いい。 おうちで楽しむバルメニュー、ビストロメニューにぴったりです!

近年の夏の暑さは年々きびしさを増しています。海外の流行を参考にするもよし、自分のスタイルで探してみるもよし。赤ワインもキンキンに冷やした新しいスタイルで楽しんではいかがでしょうか。

【参考サイト】
Natalie Earl/Best summer red wines to drink chilled/decanter.com/July 7, 2022(2022年9月20日閲覧)

https://www.decanter.com/decanter-best/best-red-wine-chilled-316301/

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