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ワインと暮らす

アンプラグドなワインとリアン・ラ・ハヴァス~ワインと音楽~

アンプラグドなワインとリアン・ラ・ハヴァス~ワインと音楽~

音楽とワイン。ミュージシャンのリアン・ラ・ハヴァスと、ドイツのワイン醸造家マルティン・テッシュの作品を合わせて味わうコラム。筆者はジャズシンガーの東海林美乃梨。

「ドイツワインは甘い」

そう、思い込んでいた。このワインに出会うまでは...。

青色のボトル、猫や聖母の描かれたラベル、英語より馴染みが少ないドイツ語がつらつらと書かれたクラシックな雰囲気のラベル。
それが私のドイツワインのボトルのイメージであり、美しいとは思っても、あまり手に取ることがなかったのが正直なところだ。

しかし、この『リースリング・アンプラグド・トロッケン』を初めて見た時は違った。
「なんだかドイツワインらしくないラベル。それに、アンプラグド・・・。音楽に関係あるワインなのかしら?」

アンプラグドとは、音楽用語で電気楽器を使わず生楽器だけで演奏することを意味する。
ミュージシャンでもある私は、音楽に少しでも関係のあるワインを見つけると、思わず反応してしまう癖がある。
一気に興味を掻き立てられた私はテッシュというこのワインの造り手について調べた。

「斬新な発想でドイツワイン界に新風を吹き込む造り手」それが生産者ヴァイングート・テッシュ。
300年近くの長い歴史を持つワイナリーだが10代目のオーナー、マルティン・テッシュ氏によりその趣が一変したそうだ。
彼は伝統を重んじるワイン造りを躊躇することなく変え、“型破り”なやり方で新しいことに挑戦していった。パッケージやロゴの変更もその1つとのこと。
何より、食事との相性を考え抜き、「辛口に特化したワイン造り」を信念にしてきたという。 伝統的な風潮だった当時のドイツワイン界において “異端児”といえたマルティンは、さぞかし苦労も多かったであろう。
それでも「自らの特性を活かしながら人とは違うことをする」という明確な信念の下、ワイン造りを行なってきたのだ。

なるほど。そんな情熱的な背景があるワインなのか・・・。



私は日頃からよく「ワインと音楽のペアリング」をして楽しむ。
「このワインに合う音楽は何だろう?」
この、『リースリング・アンプラグド・トロッケン』には、やはりアンプラグドな音楽を合わせたい・・・。そう思って浮かんできたのが、ロンドンを拠点に活躍するシンガー・ソングライター、リアン・ラ・ハヴァスだ。
彼女が爪弾く軽やかかつ、深みのあるギターの音色と心地の良い歌声が、頭の中に流れてきた。

ギリシャ系の父と、ジャマイカ人の母との間にロンドンで生まれたリアンは、ミュージシャンであった父からギターとキーボードの基礎を教わり独学でマスター。アーティストのバック・ボーカルなどを経て、2011年初頭にワーナーミュージックUKとメジャー契約を果たした。
彼女の音楽のジャンルは、あえていうのならば、ソウルになるだろう。

しかし彼女はある対談で、こう述べている。「究極的には、いわゆるソウルと総称されるジャンルの定義を塗り替えて自分独自の道を拓きたい」
彼女の信念は、ドイツの伝統に捉われず、自分の特性を活かしたワイン造りを切り開いてきたマルティンの信念と、似たもののように感じる。
両者とも、ジャンルや定義に捉われることなく、飲み手、聴き手が心から良いと思うものを生み出すのだ。
私はそのような、型にはめようとしない個性的な信念にとても惹かれている。

そして、リースリング・アンプラグド トロッケン。このワインから感じるフレッシュなリンゴや桃のアロマは、キュートでチャーミングなリアン自身、キレが良く心地の良い酸は、まるで彼女が爪弾くギターの調べ...。

金曜日の夜に、少し遅い夕飯(というよりはおつまみ)をテーブルに並べて、アンプラグドをグラスに注ぎ、リアン・ラ・ハヴァスのライブアルバム「Live at The Roundhouse」を流す・・・。
1週間の疲れを癒す至福の時間を、さあ、味わおう・・・。



ワーナー・ミュージックリアン・ラ・ハヴァス(ワーナー・ミュージック・ジャパン)

ペアリング推奨アルバム:Live At The Roundhouse / Lianne La Havas
ペアリング推奨曲:Midnight (Live)

ご紹介したワイン「リースリング・アンプラグド トロッケン」

「ヴァイングート・テッシュ」のワイナリー情報はこちら

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